宮地家住宅|岐阜県高山市

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宮地家住宅

江戸時代や明治時代の建築が随所に残る高山。越中街道沿いの大新町に残る町家 宮地家住宅もその1つです。国の重要文化財に指定されている日下部家住宅 / 日下部民藝館や吉島家住宅と同じように一般公開されているため、内部を覗き見ることができます。

酒屋や米屋を営み、養蚕や農業も兼ねていた宮地家の、主屋や建物配置は高山の形式をよく残し、越中街道沿いの農業もおこなっていた商家の特徴をしめしています。

目次

宮地家住宅へのアクセスは高山駅から

高山 町家

宮地家住宅へは、JR高山駅から徒歩17分。

4月から11月に開かれている飛騨高山宮川朝市の横を抜け、高山の人気エリア古い町並み「さんまち通り」の北、国の重要文化財に指定されている、吉島家住宅、日下部家住宅(日下部民藝館)をさらに北にに上がっていったエリアです。

駐車場は完備していませんが、周辺には市営駐車場をはじめ複数の駐車場があるので、車でのアクセスも可能です。

一般公開されているので、宮地家住宅は見学が可能

宮地家住宅

明治8年の大火の後すぐに立てられた高山の標準的な町家 宮地家住宅。

軒が低く、細長い間取りで道路側から主屋、中庭、土蔵と並んでいます。かつては越中街道に面していて米屋、酒屋などの商売を営みながら農業もおこなっていました。上町の商家とは異なった歴史と性格を持っています。

宮地家の先祖は、江戸時代に国府町の宮地にある都竹次郎兵衛家から高山へ出てきました。屋号を宮地屋といい、明治の前半頃には米屋、酒屋などの商売を営み、また養蚕もしていました。その他にも田畑を所有しており、農業も行っていました。純粋な商人ではなく、近隣の住民と同様に半農半商的な生業をおこなっていました。

平成12年までここに住んでおられましたが、伝統的で平均的な町屋の形式を良く残し、改造も少ないことから高山市の文化財建造物に指定、後に高山市が土地・建物を購入、およそ2年1,400万円をかけて整備工事を行いました。

現在は宮地家住宅として、高山市教育委員会により一般公開を行っています。

宮地家住宅

・住所:岐阜県高山市大新町2-44

・入館時間:9:00〜16:30

・開館日:土曜・日曜・祝日

・入館料:無料

・サイト:https://www.city.takayama.lg.jp/kurashi/1000021/1000119/1001040.html

農業などを兼業している家が多くあった大新町

高山 町家

戦国時代の天正13年(1585)飛騨国を支配していた三木氏を滅ぼした金森長近は、翌年から城下町の建設に着手し、江名子川と宮川に囲まれた範囲を町域に定めました。その後町は江名子川を越え一之新町、二之新町、下新町と北へ発展。また宮川対岸を川原町、上川原町と南へ、向町、浦町と西へ広がって行きました。

宮地家住宅がある大新町は、かつて下新町と呼ばれていた地域で、高山の町から越中国(現在の富山県)へ向かう越中街道の道沿いに発展した町です。宮地家の前を通る越中街道はゆるやかにカーブを描きながら北へ向って伸び、道沿いには宮地家と同じような古い木造家屋が点在し、所々に往時の面影を伺うことができます。

この近隣の大新町では、宮地家住宅のように商業の他に農業などを兼業している家が多くありました。農地は多くの人が大新町の北側やさらに北東の松本町あたりに持っていました。その他の業種としては、米屋、酒屋、春慶塗、石屋、大工等の職業がありました。

上町の商家とは異なった歴史と性格を持つ宮地家住宅

宮地家住宅

明治8年にはこの付近で大規模な火災があり、宮地家を含め、多くの町屋が焼失しました。主屋はその後比較的早い時期に建てられたと考えられます。主屋に使われている木材は丹生川村三之瀬の山から調達したと伝わっています。土蔵はその大火の際にも焼け残っており、建築時期は江戸時代まで遡ると思われています。

宮地家住宅は、主屋とそれに取り付く下屋、土蔵とその横の木造倉庫から構成されています。主屋から中庭、土蔵と「どじ(通り)」を通して続き、町屋に特徴的な間口が狭く奥行きのある細長い敷地を持っています。間口は三間主屋の奥行きが十二間ほどあります。

宮地家住宅

みせの間の道路側には蔀戸の痕跡が残っており、昔は毎日上げ下げされて、商いが行われていたことが想像されます。農業を行っていたため主屋裏側にある土蔵の脇土間付近を納屋に改造したり、農作業に使う馬のため、蔵の横を馬小屋として使っていました。

蔵の横の通路にある穴がたくさんあいた柱は、馬が外に出ないようにするための「ませんぼ」を差すための柱です。主屋の前には馬をつなぐための「馬つなぎ」もあります。このように三町(高山市三町伝統的建造物群保存地区)に見られるような本格的な形式の町屋とは異なっている例が見受けられます。

宮地家では、大新町が形づくられた越中街道をテーマにした展示や、周辺に多く住んでいた職人達の使用した用具や作品などが展示されています。この地域の歴史を知るとともに、現在では数少なくなった伝統職人の技に触れることができます。

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