四国の人気観光スポットの1つ「脇町うだつの町並み」。
古い街並みが残り、重要伝統的建造物群保存地区にも認定されている地域です。
今回は町家・古民家好きのライターが実際に訪れて、おすすめだったスポットをご紹介します。
脇町うだつの町並みへのアクセスは車が便利
脇町うだつの町並みへのアクセスは車が便利。「道の駅 藍ランドうだつ」の駐車場の利用がおすすめです。
電車であれば、JR徳島線の穴吹駅到着後タクシーに乗り換えて約10分です。
脇町うだつの町並みへのアクセス
・住所:徳島県美馬市脇町大字脇町
・車でのアクセス
一般道 高松市内から約1時間20分、徳島市内から約1時間
高速道路 徳島市内から徳島自動車道利用で約40分
・電車でのアクセス
JR穴吹駅からタクシーで約10分
まずは脇町の歴史について予習
吉野川中流域にある脇町は、吉野川の水運などを利用した阿波藍の集積地として江戸時代から明治期まで繁栄した地域。
現在の南町が旧商家の本街道として最も繁華な通りでした。この付近の土蔵造り家屋は大半がそのまま残っていて、今も約400mにわたってその景観を堪能することができます。
各商家には、隣の家との境に袖壁の卯建(うだつ)という土造りの防火壁を設けていることが特徴的です。
このうだつは防火対策として奨励されたことで根付いたものですが、これを作るには相当な建築費を必要としたため、この防火壁が作れないことが「うだつがあがらない」と表現されました。これが一向に出世できない「うだつがあがらぬ」の語源になったと言われています。
古い町並みを構成する「うだつ」。”日本の道100選”にも選ばれる脇町の町家の特徴
脇町の町家には年代ごとに建て方の特徴が見て取れます。
江戸時代に作られた町家には、虫籠窓をもつ中二階、吊り上げ式のしとみ戸(格子組みの裏に板を張り、日光を遮り、雨風を防ぐ戸)、寄棟型のうだつなどの特徴が見られます。一方、明治時代に作られたものには格子造りで二階の軒が高い町家が多く存在します。
そして、脇町の「うだつの街並み」の特徴はなんといっても「卯建(うだつ)」。豪商たちの成功のシンボルとして、その高さや、装飾を競い合いました。
脇町のうだつの街並みには現在約50個ものうだつが残っており、虫籠窓や格子とともに、古い街並みの景観を形成しています。また、うだつのほかに、鬼瓦をはじめとした瓦の装飾も観光の際に要チェックのポイントです。
南町には吉田家住宅をはじめ、当時の藍商の商家が多く残ります。
「うだつ」とは?
うだつは元来京都・奈良地方の中世末に町家の板屋根に現れたものだといわれています。
板屋根の端の保護を目的して使われていた「うだつ」は、当時の技術的背景から、粘土質の土が多く用いられたため、当時の防火に袖壁として役立ちました。
「うだつの街並み」は脇町のほかに、岐阜県の美濃などが有名です。
脇町うだつの町並みの観光スポット
重要伝統的建造物群保存地区に指定されている「脇町うだつの町並み」。
街歩きも魅力的ですが、町家の内部を公開している施設や、脇町の伝統文化を体験できる施設があり見ます。
ボランティアガイドに脇町うだつの町並みの歴史や文化について教えてもらいながら散策することも可能。お問合せが必要ですので、ご注意ください。
・問い合わせ:TEL: 0883-53-8599(脇町・うだつの町並みボランティアガイド連絡会)
・料金:1人500円(4名まで)、観光バス1台につき2,000円
・予約:1週間前まで
脇町一の豪商「吉田家住宅」
脇町一の豪商、藍商の”左直”の商家「吉田家住宅」。
うだつの町並みで最大の床面積を誇り、主屋・質蔵・中蔵・藍蔵・離れ家の5棟が、中庭を囲むように建ち並び、藍商の典型的な配置形式を残しています。
現在は一般に公開されています。
裏手には船着場の跡が残り、当時の様子を窺い知ることができます。
藍商佐直・吉田家住宅
・住所:徳島県美馬市脇町脇町53
・TEL:0883-53-0960
・入館料:510円
・営業時間:9~17時
・定休日:無休
藍染体験もできる「美馬市観光交流センター」
脇町うだつの町並みは、阿波藍で栄えた街。
美馬市観光交流センターの「藍染工房」では、その歴史にふれ、天然藍の染料を使ったハンカチ染めなどが体験できます。
また、吉野川の防水林として豊富に竹が植栽されてきたことから、竹細工も伝統工芸の1つ。ミニ和傘や和傘ランプシェードの制作体験などもできます。
美馬市観光交流センター
・住所:徳島県美馬市脇町脇町45-1
・営業時間:9~17時
・定休日:第2水曜日、年末年始
・サイト:https://www.city.mima.lg.jp/kanko/map/list/11508.html
脇町うだつの町並みのお店
道の駅 藍ランドうだつ の「みやげ・喫茶 藍蔵」をはじめ、ランチやドリンクを楽しむことができる場所が複数あります。
下記に一部をご紹介します。
「脇町うだつの町並み」の人気グルメスポット
- Punta Italian/Cafe(イタリアン)
- ワタル珈琲(カフェ)
- うだつemon茶房(カフェ)
- 茶里庵(郷土料理)
- cafe 角屋(カフェ)
「脇町うだつの町並み」以外にも見所いっぱい!徳島県の古い街並みへ
徳島県の古い街並みは「脇町うだつの町並み」以外にも。
県下には、伊予街道や川北街道など四国と畿内を結ぶ街道沿いに繁栄した商家町などが残っています。また、脇町とあわせて、3つの地域が重要伝統的建造物群保存地区として認定されています。
脇町の近くにも、ともに「うだつの町」として知られる、貞光地区があり、前後2段に並ぶ、珍しいうだつを目にすることができます。
重要伝統的建造物群保存地区(通称:重伝建)は、昭和50年の文化財保護法の改正により、歴史的な風致を形成している伝統的な建造物群を、新しいカテゴリーの文化財として残していこうと始まった制度です。
高岡市山町筋(富山)や彦根市河原町芹町地区(滋賀)など町屋・町家の残る地区をはじめ現在全国104市町村で126地区(合計面積約4,023.9ha)、合計約30,000件の伝統的建造物及び環境物件が特定され保護されています。
山村集落の東祖谷山村落合や漁村集落の出羽島といった古い町並みが認定されています。
徳島県の重要伝統的建造物群保存地区
・東祖谷山村落合(山村集落)32.3ha
・脇町うだつの街並み(商家町)5.3ha
・出羽島(漁村集落)3.7ha
そのほかの古い街並みが残る地域
・貞光(商家町)
・池田(商家町)