文化財の保存に欠くことのできない伝統的な技術又は技能を、次世代へ継承する。
日本博主催・共催型プロジェクト「日本の技EXPO~文化財を守る自然の素材と匠の技術~」の一環として、「二子玉川 蔦屋家電」(東京都世田谷区)で、2022年10月1日(土)~10月14日(金)の期間、伝統建築工匠の技や価値を伝える展示イベント「それは、文化を未来に残す仕事。」が開催されます。
文化財の保存のために欠くことのできない「文化財の保存技術」の展示イベントで、文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会、NHKプロモーションが主催、全国文化財保存技術連合会の共催、協力伝統建築工匠の会事務局のイベントです。
後継者不足により継承が危ぶまれる「選定保存技術」を知るキッカケに
日本文化と伝統技術は存続の危機にあります。文化財を支える保存技術が、後継者不足により継承が危ぶまれています。
日本が誇るべき文化財と保存技術は表裏一体。日本文化は、長い歴史の中で継承され、我々にとって、そして、後世においても計り知れない価値を占めます。文化財とともに、その保存技術の保護・活用に取り組むことで価値は更に高まります。
貴重な日本文化を救う大切な一歩は私達が保存技術を知ることから始まっていくのかもしれません。
「選定保存技術」の選定・認定とは?
文化財の保存のために欠くことのできない伝統的な技術または技能で保存の措置を講ずる必要があるものを,文部大臣は選定保存技術として選定し,その保持者及び保存団体を認定しているのが「選定保存技術」です。令和3年時点で、77件の伝統技術が選定保存技術として認められています。
昭和50年の選定保存技術制度創設後、現在までに随時選定・認定が行われ、保持者・保存団体による伝承者養成事業の実施をはじめ、技術の保存・伝承に多くの努力が払われています。
国の選定保存技術のうち17件から構成される「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」は、2020年12月に選定保存技術から初のユネスコ無形文化遺産への登録となりました。
選定保存技術一覧
選定保存技術は「有形文化財等保存の技」「有形・無形文化財等保存の技」「無形文化財等保存の技」の3つにわけることができます。それぞれは下記の通りです。
1、有形文化財等保存の技
技術 | 団体 |
---|---|
建造物修理 | (公財)文化財建造物保存技術協会 |
檜皮葺・杮葺 茅葺 檜皮採取 屋根板製作 | (公社)全国社寺等屋根工事技術保存会 |
建造物装飾 | (一社)社寺建造物美術保存技術協会 |
屋根瓦葺(本瓦葺) | (一社)日本伝統瓦技術保存会 |
建具製作 | (一財)全国伝統建具技術保存会 |
装潢修理技術 | (一社)国宝修理装潢師連盟 |
装潢修理材料・用具製作 | (一社)伝統技術伝承者協会 |
祭屋台等製作修理 | 祭屋台等製作修理技術者会 |
文化財石垣保存技術 | 文化財石垣保存技術協議会 |
建造物木工 | (公財)文化財建造物保存技術協会(一社)日本伝統建築技術保存会 |
茅採取 | (一社)日本茅葺き文化協会 |
建造物彩色・漆塗 | (公財)日光社寺文化財保存会 |
左官(日本壁) | 全国文化財壁技術保存会 |
畳製作 | 文化財畳保存会 |
木造彫刻修理 | (公財)美術院 |
浮世絵木版画技術 | 浮世絵木版画彫摺技術保存協会 |
文化財庭園保存技術 | 文化財庭園保存技術者協議会 |
2、有形・無形文化財等保存の技
技術 | 団体 |
---|---|
縁付金箔製造 | 金沢金箔伝統技術保存会 |
竹筬製作 | 日本竹筬技術保存研究会 |
木炭製造 | (同)伝統工芸木炭生産技術保存会 |
3、無形文化財等保存の技
技術 | 団体 |
---|---|
日本産漆生産・精製 | 日本文化財漆協会 |
邦楽器原糸製造 | 木之本町邦楽器原糸製造保存会 |
歌舞伎小道具製作 | 歌舞伎小道具製作技術保存会 |
組踊道具・衣裳製作修理 | 組踊道具・衣裳製作修理技術保存会 |
玉鋼製造 | (公財)日本美術刀剣保存協会 |
植物染料(紅・紫根)生産・製造 | (一財)日本民族工芸技術保存協会 |
苧麻糸手績み | 宮古苧麻績み保存会 |
箏製作 / 三味線棹・胴製作 | 邦楽器製作技術保存会 |
日本産漆生産・精製 | 日本うるし搔き技術保存会 |
歌舞伎衣裳製作修理 | 歌舞伎衣裳製作修理技術保存会 |
歌舞伎大道具(背景画)製作 | 歌舞伎大道具(背景画)製作技術保存会 |
琉球藍製造 | 琉球藍製造技術保存会 |
阿波藍製造 | 阿波藍製造技術保存会 |
からむし(苧麻) 生産・苧引き | 昭和村からむし生産技術保存協会 |
手漉和紙用具製作 | 全国手漉和紙用具製作技術保存会 |
展示イベント「それは、文化を未来に残す仕事。」
「文化を未来に残す仕事」の魅力や価値を伝えるために、文化財や仕事道具の写真や実物などの展示おこないます。また、『匠の技を旅する』 ブックフェアも同時開催されているので、匠たちによって守られてきた、日本の伝統建築をめぐることができる観光スポットを紹介する書籍・写真集に出会えるかもしれません。
「それは、文化を未来に残す仕事。」展
文化財や仕事道具の写真や実物などの展示を通して、文化財の保存技術の魅力や価値を再発見。AIロボットも登場するので、楽しみながら技術に触れることができます。
日程:2022年10月1日(土)~10月14日(金)
時間:10:00~20:00
場所:二子玉川 蔦屋家電 2階 ギャラリーI・Ⅱ、エスカレーター横平台
『匠の技を旅する』 ブックフェア
まずは本の世界で、日本の伝統建築の素晴らしさに触れてみてはいかがでしょうか。
きっと「匠の技をめぐる旅」に出かけたくなる、匠の技を体感できる観光スポット・建築物を紹介する書籍・写真集が一堂に集められています。
日程:2022年10月1日(土)~10月14日(金)
時間:10:00~20:00
場所:二子玉川 蔦屋家電 2階 BOOK STREET