日下部家住宅/日下部民藝館で飛騨高山を代表する町屋造りに出会う|岐阜県高山市

  • URLをコピーしました!
日下部民藝館

江戸時代や明治時代の建築が随所に残る高山を代表する町屋造りで、隣接する吉島家住宅とともに国の重要文化財に指定されている日下部家住宅 / 日下部民藝館。高山では、他にも宮地家住宅などの魅力的な町家の内部を見学することができます。

中でも日下部家住宅 では、名匠が存分に腕を振るった、豪商の館ならではの雰囲気を堪能できます。

また、日下部民藝館に隣接する伝統的な町家を改修した、1日1組限定のラグジュアリーヴィラ「谷屋」を2022年10月10日(月)にオープンさせています。

目次

日下部民藝館へのアクセスは高山駅が便利。

日下部民藝館

日下部家住宅 / 日下部民藝館へは、JR高山駅から徒歩15分。

4月から11月に開かれている飛騨高山宮川朝市の横を抜け、高山の人気エリア古い町並み「さんまち通り」を北に上がっていったエリアです。

高山 町家

駐車場は完備していませんが、周辺には市営駐車場をはじめ複数の駐車場があるので、車でのアクセスも可能です。

高山の代表的な町屋造り 日下部家住宅 / 日下部民藝館について

日下部民藝館

日下部家住宅 / 日下部民藝館は、高山の近代民家建築を切り開いた飛騨の大工の名門、谷口家の谷口延恭に師事した川尻治助による町屋建築です。川尻治助は彫刻の名手でもあり、一刀彫の名品も残しています。

明治12(1879)年に建てられた日下部家住宅では、これまで社寺建築に使われていた軒裏の「セガイ」(軒先で出桁を腕木で支え、天井板を張った構造)を民家に取り入れるなど、高山の近代民家建築を切り開きました。

いかにも雪国の民家らしく、低く深く重々しい軒や、どっしりとした構えの中に美しい出格子が印象的です。

日下部民藝館

豪快に組み上げられた吹き抜けの梁組はスケール感があり、隣り合う吉島家との対照性を感じさせます。

吉島家とともに、明治以降の町屋建築としては、初めて重要文化財に指定されました。日下部家住宅は、現在は日下部民藝館として、当時のまま一般公開されています。

日下部家住宅 / 日下部民藝館

・住所:〒506-0851 岐阜県高山市大新町1-52

・入館時間 10:00~16:00

・休館日 毎週火曜日を休館(祝日の場合は翌日)

・入館料:500円(小中学生は300円)

・サイト:http://www.kusakabe-mingeikan.com/index.html

・instagram:@kusakabe_folk_crafts_museum

民芸館として一般公開されている、日下部家住宅 / 日下部民藝館

日下部民藝館

天領時代、日下部家は幕府(代官所)の御用商人として栄えた商家で、屋号を「谷屋」といいました。嘉永5年には、役所の御用金を用立てする掛屋〈かけや〉をつとめ、後には両替屋を営んでいます。

当時の邸宅は明治8年の大火で類焼、その4年後の明治12年(1879)に完成したのが、現在の建物です。

木の国飛騨の人々は元来建築技術に優れており、「飛騨の匠」と称されています。その「飛騨の匠」は現在に至るまで数多くのすばらしい建築物を生み出してきました。日下部家住宅 / 日下部民藝館もその1つ。

日下部民藝館

主家〈おもや〉は、切妻造り段違い二階建て、一部吹き抜けの総桧〈ひのき〉造りです。梁〈はり〉と束柱〈つかばしら〉の木組みの力強い構成、屋根の勾配〈こうばい〉はゆるく、軒〈のき〉の出は深くなっています。

また日下部家住宅 / 日下部民藝館の正面表構えの出格子〈こうし〉、入格子、窓切りの変化、ベンガラに煤〈すす〉をまぜて、焦〈こげ〉茶色に塗った木部の仕上げ等、江戸時代高山の町屋造りの特色を留めています。他に土蔵二棟があります。

スケールの大きな梁に、こだわり抜かれた意匠。日下部家の繁栄がわかる1階。

高山 町家

日下部家住宅 / 日下部民藝館に、入館してすぐに天井を見上げると、3Fの高さまである吹き抜けで開放感溢れる空間に、7間半(約13m)の1本の赤松で貫き通された梁。

スケールの大きな梁に圧倒されます。

高山 町家

囲炉裏から向かって右側が台所。家族団欒の場として、また来客者への応接室として利用されていました。

当時は天井から自在鉤をつるして囲炉裏を使い、調理。この囲炉裏と火鉢だけが暖房器具として使われていたそうです。

日下部民藝館

“みせ”と呼ばれる通りに面した部屋。日下部家住宅 / 日下部民藝館の目の前は、越中街道(ブリ街道)の高山側の出発点として、非常に繁栄していたそうです。

この”みせ”には、日下部家の繁栄に関わった、そろばんや計算機などの商人道具屋、当時の地図や木札など商人の旅道具の一部が展示されています。

日下部民藝館

入口の大きな吹き抜け空間とは対照的で、地味に見えがちな仏間や奥座敷ですが、現在では再現することが難しい、意匠の細部にこだわって作られた空間となっています。

仏間は京都の職人が製作したもの。精巧に作られた仏壇は、当時300両(現在の3000万円以上)を投資してつくられました。

日下部民藝館

一番奥にある中庭に面する場所が本座敷です。書院造の本座敷は最も格の高い部屋で普段は使われることがありませんでした。

床の間の壁は土壁ではなく、紙が貼られていて紙床呼ばれていました。季節に合わせて紙の色を変えるなど、張り替えることができます。日下部家住宅 / 日下部民藝館の中でも、非常にこだわって作られた空間です。

日下部民藝館

引き戸に使われている板ガラスは難しい技法で作られたもの。当時は非常に貴重なものでした。今となっては当時の製法で板ガラスが作られることがないため、とても貴重なものです。

当時の生活を思いを馳せる、貴重な道具の数々が展示される2階

日下部家住宅

日下部民藝館2階は展示室に。日下部家に嫁いできた女性の、嫁入り衣装などが展示されています。

精巧な撒き餌が施された硯箱や、遊び道具、化粧道具など豪華な品々が展示されています。

日下部家住宅

日下部家の一年は年々歳々同じことが同じように繰り返されてきました。こういった行事を大切にしながら過ごしていました。大小の違いはあれ、高山の商家は同じように過ごしてきたとされます。

日本の昔ながらの暖房器具。火鉢も多く飾られています。

日下部家住宅

日下部民藝館の展示物は2階の他に、1階の小展示場や第2展示場(蔵)でも、当時から残る貴重な道具や民芸品を目にすることができます。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次